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山口 義仁; 西田 明美; Li, Y.
Proceedings of ASME 2022 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2022) (Internet), 7 Pages, 2022/07
原子力発電所おける配管減肉は重要な経年劣化事象の一つである。また近年、日本のいくつかの原子力発電所は大きな地震を経験している。そのため、長期間運転した原子力発電所を対象とした地震を起因とした確率論的リスク評価において、減肉と地震による応答応力の両方を考慮した配管系の地震フラジリティ評価が、重要となっている。本研究では、原子力機構が開発した減肉配管を対象とした破損確率解析コードPASCAL-ECに、減肉配管の地震応答応力の算出モデルや減肉配管の破壊評価法など、減肉配管の地震フラジリティを評価可能とする機能を導入した。また、整備した解析コードを用いて、地震フラジリティの評価事例を整備した。
山口 義仁; Li, Y.
配管技術, 63(12), p.22 - 27, 2021/10
東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、原子力発電所に対する地震を起因とした確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)やリスク情報の活用が重要となっている。地震PRAでは、安全上重要な機器や配管などの地震による損傷確率を考慮して、炉心損傷頻度などが求められる。長期間使用された配管では、経年劣化による亀裂などの発生があり得る。亀裂が発生すれば、配管の破壊強度が低減され、地震時の損傷確率が上昇することとなる。そのため、長期間運転された原子炉を対象に地震PRAを実施する際には、経年劣化が機器の損傷確率に及ぼす影響を考慮することが重要である。著者らは、経年劣化の影響に加えて、地震による亀裂進展や破壊を考慮することで、長期間使用された原子炉配管の損傷確率を算出できる解析コードを開発し、妥当性の確認を経て公開した。また、地震による損傷確率を求めるための手順や推奨される手法やモデル,技術的根拠などを取りまとめた評価要領を世界に先駆けて整備し公開した。本論文では、開発した解析コード及び評価要領について説明する。
山口 義仁; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; Li, Y.
JAEA-Research 2020-017, 80 Pages, 2021/02
国内では、安全性向上評価に関する運用ガイドが施行されている。原子力発電所の地震に対する安全性を評価する手法の一つとして、地震を起因とした確率論的リスク評価(地震PRA)がある。この評価では、地震動の作用に対して建屋や機器が損傷する確率である地震フラジリティ、任意の地震動強さとその強さを超過する頻度との関係である地震ハザード及び事故シーケンスから炉心損傷頻度等が求められる。日本原子力学会が定める地震PRAに関する実施基準では、原子力発電所の長期運転により経年劣化事象を無視できない場合、経年劣化事象による地震応答特性の変化又は耐力の低下を考慮して機器等の地震フラジリティを評価することとなっている。この評価において、原子力発電所の長期運転による亀裂又は配管減肉の発生及び進展が確認されている経年配管を対象とする場合は、確率論的破壊力学(PFM)は有力な評価技術である。長期運転された原子力発電所を対象に地震PRAの高度化を図るために、ここで代表的な配管や部位等を対象に、経年劣化事象を考慮した地震フラジリティ評価のための要領を取りまとめた。本評価要領の目的は、破壊力学等の知見を有する地震フラジリティ評価担当者が、本評価要領を参照しながら、別途公開する亀裂を有する経年配管を対象とした地震フラジリティ評価が可能なPFM解析コードPASCAL-SP及び配管減肉を有する経年配管を対象とした地震フラジリティ評価が可能な確率論的解析コードPASCAL-ECを用いることによって、経年配管に対する地震フラジリティ評価を実施できることである。
山口 義仁; 真野 晃宏; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; 宮本 裕平*; Li, Y.
JAEA-Data/Code 2020-021, 176 Pages, 2021/02
日本原子力研究開発機構では、軽水炉機器の構造健全性評価及び耐震安全性評価に関する研究の一環として、原子炉配管を対象とした確率論的破壊力学(PFM: Probabilistic Fracture Mechanics)解析コードPASCAL-SP(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR - Stress Corrosion Cracking at Welded Joints of Piping)の開発を進めてきた。初版は2010年に公開され、その後もより実用性の高いPFM解析の実現を目的として、最新知見を踏まえて解析対象の拡充や解析手法の高度化等を実施してきた。今般、その成果を反映し、バージョン2.0として公開することとした。最新版では、解析対象の経年劣化事象として、ニッケル合金の加圧水型原子炉一次系水質環境中の応力腐食割れ、ニッケル合金の沸騰水型原子炉環境中の応力腐食割れ、二相ステンレス鋼における熱時効等を新たに加えたほか、最新の応力拡大係数解の導入や溶接残留応力の不確実さ等の評価機能の高度化を行い、より適用範囲が広く信頼性が高い配管の破損確率評価を可能とした。また、経年配管の耐震安全性評価の高度化に資することを目的に、巨大地震を想定した大きな地震応答応力に対応した亀裂進展量評価手法等を導入し、地震フラジリティ評価を可能とした。さらに、確率論的評価に係る影響因子の不確実さを認識論的不確実さと偶然的不確実さに分類し、これらの不確実さを考慮して配管の破損確率の信頼度を評価する機能及びモジュールを新たに整備した。本報告書は、バージョン2.0としてPASCAL-SP2の使用方法及び解析手法をまとめたものである。